2020.12.18
暑い日が続くと、なんとなくだるくて疲れやすい、食欲がない、気力がない等の身体の不調が出てきます。特定の原因や症状がはっきりした病気ではない、これらの状態の総称を夏バテといいます。
気温が高くなると、人は発汗や血管拡張によって体内の熱を逃し、体温を一定に保とうとします。これは自律神経による体温調節システムですが、高温多湿な日本の夏の暑さは汗をかきにくく、必要以上に負担がかかります。また、冷房で冷えた屋内と暑い屋外の行き来を繰り返すと、その温度差にシステムがついていけず、自律神経の働きに乱れが生じてしまうのです。すると胃腸の働きも弱まって食欲不振となります。エネルギー代謝に必要なビタミン・ミネラルなどの栄養も不足するため、だるくなり、また、暑さによる睡眠不足も疲労や自律神経不調の原因となります。これらの要因が相互に影響して、さまざまな夏バテ症状を引き起こすのです。
冷たすぎない水分を適度にとり、半身浴などで上手に汗をかきましょう。室温も身体も冷やし過ぎないようにこまめに調節すること。タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養をバランスよく、量より質で摂ることを心がけ、元気に夏を乗り切りましょう。
蕎麦はわずか七十五日で収穫できるといわれ、痩せた土地や寒冷地でも生育するため、雑穀や豆類等と共に古くから栽培され、救荒作物としても利用されてきました。
蕎麦と言えば和食。なので日本特有のものと思いがちですが、原産地といわれる中国南部から伝播し、世界各地で栽培されています。形こそ全く違いますが、最近よく目にするようになったフランスのガレット(蕎麦粉のクレープ)やロシアのブリニ(蕎麦粉のパンケーキ)などからも世界中で蕎麦が食されていることがわかります。日本でもその昔は蕎麦粉を熱湯で混ぜた蕎麦がきが一般的でしたが、江戸時代中期以降は現在のような細長く切る形となり、小麦粉をつなぎに加えて喉越しも良くなったといいます。このころ、江戸浅草にあった称往院という浄土宗の寺院内にあった支院、道光庵の庵主が蕎麦打ちの名人で、行列ができるほどの人気があったとか。あまりの人気にお寺なのか蕎麦屋なのかわからない有様になり、ついに「蕎麦禁断」の碑が建てられ、蕎麦を出すことを禁じられました。以後、道光庵にあやかり、蕎麦屋に「庵」という屋号が多く見られるようになったそうです。
良質なタンパク質、必須アミノ酸、食物繊維、ビタミンB群やポリフェノールの1種のルチンと健康に良い成分が豊富な蕎麦。夏の食欲のない時にも最適な栄養食材です。