2020.12.24
東日本大震災及び福島第一原発事故により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。原発事故以来、放射能についてはさまざまな情報が行きかっていますが、放射線の測定に「ゲルマニウム半導体検出器」が使われ、話題になっています。今回は番外編として、身近な問題となってしまった放射能や放射線について整理してみます。
原子力発電はウラン235を燃料にして、核分裂によって起こる熱で蒸気を発生させ、発電を行っています。核分裂を起こしたウラン235からはさまざまな放射性物質が発生します。福島第一原発では、原子炉内から、または格納建屋内に保管されていた使用済みの核燃料から、原発の敷地内外の広い範囲に放射性物質が放出・拡散されてしまいました。色々な試算がありますが、熱量から計算すると今回の放射能は広島原爆の数十倍に及ぶと言います。
放射性物質から放出されるエネルギーのことを放射線と言い、α線、β線及びγ線などの種類があり、それぞれ性質が違います。放射能とは、この放射線を放出する力のこと。懐中電灯でいえば、電球が放射性物質、光が放射線、光を出す能力、つまり明るさが放射能となります。放射性物質の種類によって固有の特徴があり、放出する放射線も異なります。
放射線の測定法は、放射線を感知する方法によって大きく2種類に分けられます。1つは「シンチレーション式」と言って、放射線が当たると蛍光を放つ結晶やプラスチックや液体などの物質を利用したもので、この〝光〟を感知する方法。比較的感度が高く、物や体の表面の放射線密度や、空間の放射線量を測るのに適しています。もう1つは〝電子〟を感知する方法で、ガスに放射線が飛び込むとガスの分子から陽イオンと電子が発生して通電すること(発光電離作用)を応用したものです。空間の放射線量や高い放射線線量域までを測定するのに適しています。
測定機器は特定の放射線が測れるものや、数種の放射線が測れるものなどさまざまで、例えばγ線しか検出できない測定器では、γ線を出さない放射性物質は全く測定ができないということもあります。
「ゲルマニウム半導体検出器」の原理は、放射線が半導体を通過する時に発生する電子を電極に集め、その電荷を増幅して放射線のエネルギーを計測するというものです。さまざまな放射線に分けて解析できるため、今日では放射性物質の原子の種類(核種)の特定と、その放射能の測定にはほとんどゲルマニウム半導体検出器が用いられています。また、他の測定器に比べてエネルギー分解能が50倍と非常に優れているので、低レベル放射線でも感度よく計測できます。そのため、最近では野菜など、食品の測定には不可欠のものになっ ています。
しかし裏を返せば、感度が良すぎてバックグラウンドレベルの放射能でもノイズとなるため、低線量の試料の放射線を測定するには、鉛などの遮蔽体で検出器を覆う必要があります。また液体窒素で冷却(マイナス196℃)していなければその性能が発揮できないこともあり、大型の測定機器になります。それでも扱い難さを超えて有用性が勝って利用されているようです。
私たちは何より正確な情報を必要としています。報道されている放射線量の値はごく一部を除いて、エネルギーが高く透過力の強いγ線が中心の場合が多いようです。外部被曝と言って、身体の外から浴びる放射線はγ線だからだそうですが、原発のすぐ近くは別にして、今回のように広く薄く放射線が広がった場合に重要なのは、むしろα線やβ線です。特にα線は透過力は弱いのですが、呼吸や飲食物によって体内に入った場合は内部被曝となり、放射線が体内の細胞に吸収され、遺伝子DNAを傷つけ、発がんの原因になってしまいます。特に乳幼児や成長期の子供は細胞の増殖が速いため、その影響が大人の3~5倍大きいことを示すエビデンスが多数報告されており、早急な対策が望まれます。
放射線はもともと私たちの身の回りに自然に存在しているものでもあります。むやみに過剰な反応は慎むべきですが、この原発事故による先の見えない困難には不安を禁じ得ません。また今回、私たちは自分の健康は自分で守るしかないことも痛感しました。アサイゲルマニウムは生体システムを介して健康力を高め、生命活動を支えることを本来の使命としています。これからのアサイゲルマニウムの社会的貢献への役割が一層大きく大切に思われます。