2020.12.24
腰痛を訴えている人は人口の約1割、約一、二〇〇万人にもなるという調査結果を厚生労働省は発表しています(平成28年 国民生活基礎調査)。医療機関を利用せずに、腰痛を我慢している人を含めたら、もっと多いに違いありません。
その原因に目を向けてみると、骨や内臓、神経などに異変があるために、痛みを引き起こしている場合があります。例えば、ヘルニア、脊柱管狭窄症、側弯症、骨粗鬆症など。がんの場合も、がんの発生部位によっては腰に痛みを生じることがあります。病院を受診して、原因をはっきりさせることは大切です。どんな場合でも早期発見、早期治療を心がけましょう。
腰痛のうち、骨や内臓、神経などに明らかな原因があるケースは2割以下。対して、検査をしても異常がない腰痛は8割以上とも言われます。
この場合、腰痛を招いているのは、筋肉や筋膜への負担であることが多いのです。例えば、姿勢がよくない、長時間の立ち仕事や座り仕事、重い荷物を持ったり、腰をひねったなど。日常生活の中に、腰痛の引き金が隠れていると言えるでしょう。
腰痛の分類として、急性か慢性かで考えることもできます。
急性腰痛の代表はギックリ腰です。経験のある方も多いのではないでしょうか。急に発症して、少し動くのにも大きな痛みが伴いますが、通常、1~2週間で痛みは徐々に和らぎます。
一方、慢性腰痛は「動けないほどではないが、常にズーンと痛む」といった感じです。急性腰痛をきちんとケアしないでいると、慢性腰痛に移行することがよくあります。慢性とまでは言えな
くても、ギックリ腰を繰り返しやすくなるといった傾向も少なくありません。
急性腰痛も慢性腰痛も、骨や臓器などに異常があるわけではなく、前述のような筋肉や筋膜への負担が要因だと考えられます。加えて、過労やストレス、睡眠不足などが大きく関与していることも多いもの。例えば、急に重いものを持ったとしても、しっかり休息できて疲労がたまっていなければ、ギックリ腰にはなりにくいのです。
痛み方や痛む部位も人によって異なります。ぜひ腰痛の症状をチェックしてみて下さい。「いつもの腰痛と違う感じ」があるかどうかが、受診のポイントです。
非常に多くの人が抱える〝腰痛〟は、ありふれた症状とも言えますが、つらい症状を抱えたまま頑張り続けると悪化してしまう場合もあります。中には、きちんとした治療が必要なケースもあります。無理をせずに、医師に相談してみることをおすすめします。