2020.12.08
外はうだるような暑さ、室内は鳥肌が立つような冷房。そんな過酷な環境で過ごす夏は、なんとなく「むくみ」が気になりませんか。
私たちの身体の約60%を占める水分は、飲食によって取り入れられ、血液となって体内を循環し、細胞を満たしています。体のすみずみにまで栄養を届ける一方、老廃物や余分な水分は静脈やリンパ管にもどり、汗や尿などで排泄され、水分の収支はほぼ一定のバランスを保っています。でも、この循環がうまく働かずに渋滞して、余分な水分が皮下組織に溜まってしまうのがむくんだ状態。夏は屋外との気温差による自律神経の乱れや、冷たい飲み物の飲みすぎ、また冷房で汗をかきにくくなったりして、水分収支のバランスが崩れがちです。さらに意外にも夏でも「冷え」が問題で、長時間の冷房環境は思ったより体を冷やすのです。特に座りっぱなしや立ちっぱなしで過ごすと、血流やリンパの流れを促すポンプ役の筋肉の動きも少なくなります。この冷えや運動不足で血液やリンパの流れが滞り、うまく排泄されない水分でむくんでしまうのです。冷房はほどほどに、運動はこまめにして、むくみを防ぎましょう。
きゅうりはその90%以上が水分で、体の熱を冷ます働きがあります。カリウムが豊富で、体内の余分なナトリウムを排泄し、血圧の上昇を防ぎます。また、イソクエルシトリンという成分がカリウムとともに利尿効果を発揮し、むくみの解消に役立ちます。きゅうり特有の青臭さの成分であるピラジンは血栓を予防する作用があり、心筋梗塞や脳梗塞の予防につながると言われています。ただし、アスコルビナーゼという酵素がビタミンCを破壊してしまうので、サラダなどで食べるときは、その働きを抑える酢を加えるようにしましょう。きゅうりの酢の物は理にかなった生活の知恵の産物と言えるようですね。
ところで、お寿司できゅうりの巻物は「かっぱ巻き」と言います。きゅうりの切り口がかっぱの頭のお皿の形に似ているからなどの説もありますが、その昔、夏祭りの水の神へのお供え物にみずみずしいきゅうりが使われたことから、水の神が妖怪化したかっぱの好物もきゅうりという伝説が生まれ、かっぱ巻きの由来となったようです。今は一年中食べられるきゅうりですが、旬である夏の健康食材として上手に活用したいですね。