2020.12.12
春眠暁を覚えず…、春はポカポカとのどかで眠くて、などと寝坊の言い訳をしますが、実はこの漢詩、「春は日の出が早くなり、夜明けに気付かないほどだ」と日照時間の変化、季節の移ろいを指し、それに気付かず寝過ごしたうかつさを詠んだようです。私たちの体には、昼と夜のリズムや四季のリズムに適応するための「体内時計」という機能が備わっていて、睡眠と覚醒も体内時計により周期的に訪れます。体内時計は光に影響を受け、夜は安静的に、昼間は活動的に体を切り替える働きを持っています。
しかし、24時間化した現代社会ではさまざまな要因から睡眠障害につながることが多く、寝つきが悪い、何度も目が覚める、早朝に目が覚めてしまう、眠りが浅くて熟睡した満足感がないなど、日本人では約5人に1人が何らかの不眠の悩みを抱えているといわれます。春は新生活のスタートなどで環境も変わりやすい時期。体内時計のせいだけでなく、緊張感やストレス、生活リズムの崩れなどによって不眠を招きやすい季節なのかもしれません。なるべく就寝・起床時間を一定にし、朝起きたら太陽光を浴びて体内時計のリセットを。寝る直前の食事は胃腸の負担になり、安眠を妨げます。また、焦ったり、無理に眠ろうとすると逆効果です。寝る前にリラックスできる時間を過ごす工夫をしてみましょう。
お菓子、おつまみなどでおなじみのアーモンド。古くは旧約聖書にも登場する貴重な食物だったようです。原産はアジア西南部ですが、現在はアメリカやオーストラリア、南ヨーロッパなどで栽培されています。スイート種とビター種に大別でき、食用に輸入されているのはスイート種です。杏、桃、梅に近い植物ですが、アーモンドは果肉が薄いので、私たちが食べているのは種の中の「仁」という部分です。
アーモンドにはオレイン酸などの良質な脂質や、抗酸化性が高く「若返りのビタミン」と呼ばれるビタミンE、精神の安定に役立つ働きをするため「心のビタミン」と呼ばれるビタミンB群をはじめ、カルシウムや食物繊維も豊富で、美容と健康にうれしい食材です。
ヨーロッパではアーモンドのスライスや粉にしたアマンドプードルなどがよくお菓子に使われます。キリスト教の公現節(1月6日) に一年の幸運を祈って食べるフランスの伝統菓子「ガレット・デ・ロワ(王様のお菓子)」にもアーモンドクリームがたっぷり入っています。ちなみに、アーモンドの木は桜によく似た花を咲かせるので、早春のアーモンド畑はとても美しいそうです。