2020.12.02
汗ばむ日が多くなりましたね。
石けんが活躍する季節ね。もうすぐ石けん講習会、張り切って行きましょう!
石けんといえば、「泡で洗う」と盛んに言われていますが、ちょっと手を洗う時は、いちいちしっかり泡を立てたりしませんよね。それでも汚れは落ちるところをみると、泡の働きって何なのでしょう?
よくぞきいてくれました。
石けんにはいくつかの作用があって、複合的に働いて汚れを落としているのよ。
泡には泡の役割があって、そこのところを今度の講習会でも強調したいと思っているのよ!
丁度、石けんの洗浄作用についてまとめた[パネル1]ができたから見てみましょう。
石けんにも分子があるんですか?!
そうなの。水に溶けると石けんの分子が働き出すのよ。皮膚についた油汚れは水だけでは落ちにくいけど、石けんを使えば楽に落とせるわよね。それは石けんの分子が水に馴染む部分(親水基)と油に馴染む部分(親油基)との両方を持っているからなのよ。
親水基と親油基ですね、何だかとっても専門的!
油汚れに出会った石けん分子は、親油基の部分を汚れにくっつけ、また皮膚と汚れの隙間に入り込んで汚れを浮き上がらせ、包み込みながらはがして行きます。
なかなかダイナミックですね。あれ、(3)のところで、石けんの分子が皮膚の表面についてますが…
実は、そのおかげで油汚れが皮膚にもどるのを防いでいるのよ! でも、この石けん分子もすすぎの時に流れていくから大丈夫よ。
至れり尽くせりなんですね!
さあ、次に行くわよ。石けんは油脂にアルカリを作用させて作るので、水に溶けると弱いアルカリ性を示します。
アルカリってタンパク質を溶かすんじゃなかったですか?
当たり! 石けん液も古くなった角質のようなタンパク汚れを溶かして落とすのよ。
うわー、大丈夫なんですか?!
大丈夫よ。皮脂腺から出る脂肪酸という酸性物質が石けんのアルカリを中和し、できた中和脂肪酸で皮膚を守って、必要な油脂や角質まで溶かされないようにしているの。
弱酸性や中性の洗浄剤ならアルカリの心配が無いんじゃないですか?
ところが中性だと皮膚の脂肪酸を中和しないから、皮膚を守る中和脂肪酸ができなくて、残したい油脂まで取り去って肌荒れをおこすことがあるし、弱酸性では、洗浄力が弱いことがあるのよ。
アルカリ性で角質を溶かすと聞くと、びっくりしちゃいますけど、行き過ぎないようにもなっているなんて更にびっくりですね。
すすいだ直後の皮膚はややアルカリ性に傾いているけれど、健康な皮膚では、しばらくするうちに皮脂の脂肪酸や汗の成分の乳酸により中和されます。この[パネル2]を見てね。
顔だけなら5分間もかからないですね。短時間で洗って良くすすげば、この[パネル2]よりもっと早く戻りますよね。
さらに弱酸性の化粧水などをつけてあげれば完璧ね。
さて、いよいよ泡の話よ! 泡には、ホコリや砂粒のような汚れを吸い取る働きがあるのよ。
泡が汚れを吸着するって面白いですね。スポンジみたい。
汚れた石けん液の泡の部分を調べてみると、液の部分に比べ汚れの濃度が極めて高くなっていることが、実験で確かめられているのよ。
なーるほど! 実験で確かめているところがすごいですね。他にもいろいろ働きがあるんだなあ。ところで、(5)の洗浄力の目安になるというのは?
石けんの量が少ないと泡はすぐ消えてしまうでしょ。石けんが十分に泡立ち、それが洗っている間持続するためには、石けんの量がある程度必要なの。でも、石けんが多すぎてもかえって気持ちの良い泡は立たないし、すすぎが大変よね。実際、良く泡立っている時というのは[パネル1]の汚れを包む作用も存分に発揮できている、というわけなの。良い泡立ちのところが、洗浄力もあるし、お肌への負担も少ないということなのよ。
泡だけが汚れを落とすのではないけれど、泡立ってるところで、いろいろな作用がうまく行っているということですね。やっぱり泡ってすごいんだ!ぜひとも皆さんに教えてあげましょう。
はい、じゃあ、当日はパネル持ちよろしくね!
エーッ、そうなんですかー?